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【第5弾】新聞掲載されました!〜実践に移す沖縄農業革命への道筋〜


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農業AIで持続可能に デジタルはるさー共同組合 代表理事 新垣 裕一


沖縄の農業を取り巻く環境は、気候変動、人口減少、農業従事者の高齢化といった課題によって大きく変わろうとしています。このような状況の中で、持続可能な農業を実現するためには、新たなビジネスモデルの構築が必要不可欠です。従来の農業経営だけでは厳しく、農業収入に加え、農業外収入を取り入れることで、年間1,000万円以上の収益を目指す仕組みが求められています。農業と観光、デジタル技術を組み合わせた新たなスキームを構築することで、持続可能な農業経営を実現することができます。


デジタルはるさー協同組合(以下、デジはる)では、農業DXの推進を通じて、農家と市場をつなぐプラットフォームの開発を進めています。この仕組みを活用することで、農家は作物を植え付ける段階で販売先を確保し、収穫後の販路に悩むことなく、安定した経営が可能になります。これまで農家は、収穫してから市場価格に左右されるという不安定な状況に置かれていましたが、データとテクノロジーを活用することで、計画的に収益を確保することができるようになります。また、消費者向けに生産者の想いやこだわりを伝える情報発信の仕組みを構築することで、農作物の価値をより高めることができます。


農業と観光を融合させることも、農業の新たな可能性を広げる鍵となります。沖縄には豊かな自然や食文化があり、農業を体験する観光コンテンツの需要は高まっています。農業体験ツアーや、着地型観光としての農産物収穫イベントを展開することで、観光客が農業の魅力を体感し、地域とのつながりを深める機会を提供できます。また、観光客が訪れるだけでなく、リピート旅行につなげ、最終的には移住を促すことで、農業を起点とした地域活性化が可能になります。農業が単なる生産活動ではなく、地域を支える産業のひとつとして発展していくためには、このような新たな取り組みが欠かせません。


しかし、沖縄農業には新たな課題も発生しています。最近では、ウリミバエの発生により農産物の出荷制限がかかるなど、予期せぬ問題が生じています。このような事態に備え、農家が単一の販路に依存せず、多様な販売チャネルを持つことが重要です。デジはるでは、こうした問題にも対応できるように、農産物の加工や直販、EC販売の強化を進めています。生産者が自由に選択できる販路を持つことで、外的要因による影響を最小限に抑えることができます。


農業は、もはや単独で成り立つ時代ではなくなりました。観光やIT、物流などと連携しながら発展していくことが求められています。デジはるが取り組む「沖縄型農業再生モデル」は、農業を軸としながらも、地域全体で支える新しい形を提案しています。持続可能な農業を実現するためには、生産者だけでなく、消費者や地域企業、行政が一体となり、共創の精神を持って取り組むことが不可欠です。デジタル・AI技術を活用しながら、農業をより魅力的で持続可能な産業へと変革するための努力を続けていきたいと考えています。


この連載を通じて、沖縄の農業が抱える課題と、未来に向けた取り組みについてお伝えしてきました。農業は、地域の文化や暮らしを支える大切な基盤であり、これからの時代においてもその価値は変わりません。持続可能な農業の実現に向け、私たち一人ひとりができることを考え、行動に移していくことが大切です。沖縄農業の未来がより明るいものとなるよう、これからも挑戦を続けていきます。

 
 
 

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